平成29年度 8月定例研修会報告

 

 

【日    時】  平成2984日(金)19:0021:00

【場   所】  ひまわりセンター 4階 会議室4

【テ ーマ】  事例検討 その人らしい生活を実現するために

           ~高齢認知症Aさんへのかかわりをふりかえる~

事例発表者】  徳井 べな 氏(医療法人社団三愛会 三船病院)

スーパーバイザー   詫間 佳子 氏(しょうがい者支援センターふらっと)

【参加者数】  31

 

 

 

●研修報告

 

PSWは、当事者に寄り添い、その人自身が希望する生活の実現を共に目指す存在として、日々現場で当事者とかかわっている。時には、今回事例に挙げられたAさんのように、認知症により本人のニーズが捉え難いケースや、病院と施設側の意見の相違により円滑に進まないケースも存在する。今回の事例検討では、①PSWと施設との間でのAさんに対する認識のズレを小さくするために何ができたか、②Aさん本人のしたいこと・やりたいことを実現していくためにPSWとしてどのようなかかわりがもとめられたのかについて意見交換を行った。

まず、事例発表者の徳井氏は、認知症に特化した病棟での勤務を通じて得た知識や感じたことを話す。高齢者の認知症は、環境の変化によって不安定となってしまう。事例のAさんも例外ではなく、入院していた病棟から試験的に施設で1週間を過ごすことになったが、入院時のAさんの様子と打って変わって、施設の職員に対して興奮した様子が見られたという。「試験的な外泊が実際1週間であっても、Aさんにとっては1年にも感じるのかもしれない。そういったところも理解したい。」と、徳井氏。また、Aさんからの直接の暴言を受け、「これは何らかのメッセージなのでは?本当に施設に入ることが本人の望むことなのか?」と考えるきっかけになったり、暴力や拒薬・拒食は、Aさんが言葉にできない不安を表しているのではないかと思ったりしたという。言葉で表現することが難しいこともある。それを、ただ問題行動で留めるのではなく、「なぜその行動をとるのか?」と立ち止まって考えることも大切である。

さて、今回の事例検討のテーマにあるように『その人らしい生活』とはどういったことを指すのか。PSWがかかわる人の中で、当事者自身が入院などによって制限を受けていながらも、『その人らしい生活』ができていると思ってしまってはいないだろうか。さらに、そのような当事者にPSWの価値観を押し付けてはいないだろうか。時にPSWの価値観は、当事者への支援に影響を与えることもある。「その人らしく生きることとはどういったことか?」と問われてあなたが答えた中に、当事者は存在しているかどうかを今一度ふりかえり、深めていく必要がある。

最後にスーパーバイザーの詫間氏より、「ああすればよかったのでは…といろいろと自分なりに考えていたり、Aさんのことをわかってもらいたいという正義感が溢れていたり、Aさんの想いを雑談の中でよく拾えていたりと感心した。あとは、雑談として捉えるのではなく、Aさんのニーズを拾うための面談として認識して支援を行っていくと良い。」と徳井氏の背中を押した。また、参加者には、「グループスーパービジョンでは、事例発表者とAさんのためにぜひ勇気を出して感じたこと・疑問に思ったことを声に出して伝えてあげてほしい。所属機関を越えて、協会員でPSWを育てていきましょう。」と呼びかけた。

日々の支援は、思っているように結びつかないことも多い。だが、根気強く多方面からかかわりを見直したり、ふりかえりを重ねたりすることで、当事者にとっての『その人らしい生活』の実現を目指したいものである。

 

 

 

 報告   松下 瑞季(地域活動支援センタークリマ)