1月定例研修会報告

 

 

【日  時】  2018127日(土)13:3016:30

【場  所】  高松テルサ

【テ ー マ】   ピアサポーターの活動を知る ~今後の連携に向けて~

【講  師】  香川県障害福祉課 上原 泰江 氏

【報  告】  一般財団法人大西精神衛生研究所附属 大西病院 船間 雄太 氏

【発  表】  ピアサポーター 1名

【参加者数】  29

 

 

 

●研修報告

 今研修は、香川県で取り組まれている「精神障害者ピアサポート事業」について、香川県障害福祉課 上原氏、大西病院 船間氏、そして1名のピアサポーターの方より、それぞれ事業の説明や実践の報告がおこなわれた。

まず、香川県障害福祉課 上原氏より、ピアサポート事業の概要をはじめ、香川県での取り組みを通しての説明・報告があった。ピアサポート事業の取り組みの始まりとなったキャラバン隊活動は、平成19年より精神障害者退院促進強化事業から発足し、精神科病院に入院中の患者・病院関係者に対しての事業の理解・利用促進を目指して取り組まれてきた。平成25年度からは、精神障害者ピアサポート活動事業として、訪問などを通して当事者同士の交流や地域での体験発表など、地域に向けた精神障害への理解促進を、目的に活動が始まった。同時期に、香川県内の保健所・精神保健福祉センター・相談支援事業所へのピアサポーター活用意向調査をおこない、関係機関からのピアサポーターへの希望等を明確化した。平成27年度には、ピアサポーターの登録・活動・研修について検討したり、ピアサポート講座を開催したりと、具体的に取り組みをおこなった。こうした取り組みを経て、平成28年度にピアサポーターの登録希望者の名簿作成や、活動体制の整備につながった。現在では、ピアサポーター交流会や研修会の場で体験発表等の活動に取り組む中で、「体験談をまとめることで自分の経過を素直に受け止められた」「発表原稿を家族に見てもらうことで病気の理解につながった」「言葉に出すことの難しさを感じた」等、ピアサポーター自身にとっての発見につながった。今年度においては、交流会はもちろんのこと、ピア活動の普及や、入院中の方に地域での生活の様子をイメージしてもらえるよう伝えたり、支援者側の視点や価値観の修正を目的としてピアサポーターが出演するDVDを制作中であるとのこと。

続いて、ピアサポーターの方の発表ののち、大西病院船間氏からは、大西病院での実践事例報告がおこなわれた。大西病院は平成28年度より、地域移行・地域定着推進事業の前身である長期入院精神障害者地域移行総合的推進体制検証事業に参加し、長期入院患者を対象とした退院支援プログラム『はばたき倶楽部(平成28年度)』、『さきがけ倶楽部(平成29年度)』を実施。大西病院ワーキンググループ(以下WG)では、法人内の職員だけでなく、ピアサポーターや他機関の相談支援事業所のPSWや訪問看護師も参加しての活動をおこなった。ピアサポーターには、①ピアサポーター自身の体験談を語ること、②参加者との関係性を築くことの2点を依頼し、参加者からのピアサポーターの話が参考になったと好評で、更に『はばたき倶楽部』の参加者から2名退院に至った。そして、29年度の『さきがけ倶楽部』の活動へと発展し、前年度にもプログラムにあった茶話会やピアサポーターの体験発表に加えて、グループホームや就労支援施設への見学等を取り入れ、参加した患者さんにこれまでの漠然としていたイメージから具体的に考えられるよう促せただけでなく、病棟の看護師やOT等といった支援者側もWGへの楽しみを持ちながら取り組むことができた。コーディネーターとしてWGに携わっている相談支援事業所マックス 照下氏は、「ピアサポーターが仕事としてピアサポ―トをおこなっていることがすごい。ピアサポーターとの連携で、自分自身も楽しかったし、その楽しさが周りに伝わったと思う」とコメント。また、同じくWGに携わっている障害者地域生活支援センターほっと 遠藤氏は、「どれだけ準備が十分にできているかによって、この活動の効果を左右するのではないかと感じた」と、船間氏の綿密な打ち合わせや準備の質や量を称賛した。

後半はグループワークをおこない、各所属機関でのピアサポーターとの連携状況を確認・共有し、今後のピアサポーターとの連携への展望を話し合った。各グループ、まずは前半の3名の発表・報告等を受けての感想を話し合い、どのグループでもピアサポーターは支援者では成し得ない影響力を持っていることを感じたようであった。支援者の共感や理解ではどうしても限界があると、日々の業務で感じるPSWも居るのではないだろうか。当事者にとって、「理解してくれないだろうな」と支援者に対して一歩引いてしまうところはあるかもしれない。そこを、ピアサポーターの力を借りて、本当に本人が希望する生活の実現につなげたい。そして、業務の中で無意識に本人の希望する生活ではなく、支援する側の枠にはめてしまってはいないかを確認しながらかかわっていきたい。

香川県において、ピアサポーターとの連携はまだまだ進んでいない。先進地域においては、ピアサポーターが相談支援事業所に職員として勤務し、地域移行支援等に携わっているという。ピアサポートを“仕事”として取り組み、生活のメリハリや、やりがいを持つことで社会復帰につながっていく。

今回の研修会は、ピアサポート事業に関する理解を深めるだけでなく、今後ピアサポーターとの連携の幅を広げる役割を我々支援者がどう担っていくかを考えていく機会になった。

 

 

報告  松下 瑞季(地域活動支援センター クリマ)

 

 

 

※ピアサポーターの方の体験発表は、会員ページでのみ公開しております。